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信念は『幼子(おさなご)』にあり|『英雄の旅』の12のアーキタイプ:1

2017.10.19

キャロル・S・ピアソン著『英雄の旅』より、12のアーキタイプをご紹介する1番目は『幼子(おさなご)』です。
本については、この前のページ でご紹介しています。よかったらご一読ください。

私たちは誰でも、自分が覚えていなくとも、赤ん坊としてこの世に生を受けます。生まれた瞬間の赤ん坊から、やっと言葉の断片を発し始めたくらいの幼児まで程度の、いわゆる「赤ちゃん」を思い浮かべていただくと、この幼子をより リアルにイメージできるかもしれません。
私たちは誰でも、幼子だった。そして、肉体的な年齢がいくつになろうとも、これまでにどんな経験をしてこようとも、私たちの内界には幼子が在ります。

ここでは、『幼子』とは私たちの内界におけるどのような部分を象徴するのか? その特性や癖、傾向や陥りやすい状態、肯定的な資質と否定的な側面をお話しします。
なお、引用は、特別な記述のない限りすべてキャロル・S・ピアソンの『英雄の旅』よりの抜粋となります。

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はじめに

言葉を発するようになる前の、赤ん坊だった自分を覚えている人は、いないのではないかと思います。
親として子どもをもった方や、仕事などで子どもたちと関わった方などは、具体的に「赤ん坊とはこういうもの」と言うことができるでしょう。
しかし、一人っ子で育ち、親類縁者に子持ちもなく、外では見かけたことがあるぐらいという人でも「赤ちゃん」と聞けば「あんなかんじ」と想起されるイメージがあります。
ここでお話ししていくのは、私たちの心・内界にイメージとして在る『幼子』です。現実に赤ん坊を知っているかどうかにかかわらず、想起されるイメージを指しています。
そういった意味では、現実な「赤ん坊とはこういうもの」と言うより、より理想化・単純化された象徴としての『幼子』と言っていいかと思います。

幼子との出会い

キャンベルが発見し、ボグラーが体系化した『英雄の旅』では、準備・旅・帰還という3つの段階を移行していきます。幼子に限らず、12のアーキタイプがそれぞれに順番で現れるかというと、必ずしもそうとは言えません。
アーキタイプは旅の案内人であると捉えることもできるのですが、それらは私たちの成長のしかたや発達段階によって、またアーキタイプそれぞれの都合で、目覚めたり、姿を見せたり、活動を停止したりすることもあります。
人によってはどれだけ長く生きようと未だ出会ったことのないものもあるかもしれませんし、常に寄り添っているものもあります。状況によっては、私たちはどれかの支配下に置かれていることもあります。さらには、アーキタイプたちは独自に進化も遂げます。

神出鬼没とも感じられる12のアーキタイプにあって、幼子との出会いは少し特殊です。

幼子との初めての出会いには、そこに存在していたから出会ったという単純な理由があった。無垢な心を取り戻すのはそれとはまったく別の体験だ。(中略)幼子は旅の始まりでもあり、終わりでもある。

幼子は、私たちの信頼や信念などといった、信じるものの象徴と捉えることができます。

人は皆、母親の胎内で守られながら、無垢な状態で生を受ける。(中略)自立する日がやってくるまで、安全で安らかな毎日を送れるように守ってもらえるのだ。

とりわけ幸運にも、養育者から愛情と慈しみを与えられ、環境に恵まれて育った子どもは、世界は安全な場所であると疑うことなく無邪気でい続けます。
現実の世の中にあってはありえないけれど、私たちの内界に在る幼子ならば可能です。だからこそ、悲惨な子ども時代を送り、猜疑心強く簡単には信頼などしないという人であっても、誰か・何かを意識していないところで信じていたと気づくことがあるのでしょう。
私たちは誰でも、内界に幼子を住まわせています。

幼子の特徴

幼子の肯定的な特徴は

  • 人生や、自分自身や、他者を無条件に信頼する
  • 信念と希望を持ち続けるができる
  • 自分が期待することへ信念を貫き通す
  • 無邪気さ
  • 楽天的で疑いを抱かない人生観
  • 率直さ
  • 誓いや約束を神聖視し続ける

否定的な特徴は

  • 現実の物事や自他の否定
  • あれかそれか、善悪の二元論
  • 現実逃避
  • 意思や自己の力の放棄
  • 恐れからの常なる緊張状態

このような肯定的な部分と否定的な部分がどのようにあるのかを、少し詳しく見てみましょう。

幼子は“信じる気持ちの塊”です。自分はOKであり、他者もOKであり、自分を取り巻く環境は安全だと疑ったことがありません。それが普通でそれ以外の経験がない状態にある。
恵まれた状態にある幼子は、信頼を裏切られたことがないし、期待に疑問を持ったこともありません。常に与えられる、というのが幼子の世界ですから、世界に対してもそのように振る舞うことができます。完全なる充足と美・善・愛の世界。

ゆえに、信頼する枠をはみ出す出来事が起こったとき、対処ができません。自らの信じるものを受け入れ、それ以外は否定するか見なかったことにして切り抜けようとします。

信じる特質が強く働き、信じてはいけないものや人までも信じることがあります。
裏切られ傷つけられたとしても、酷いめにあったと認めてしまったら、自分の善なる世界を信じることができなくなります。
裏切られているのに認めない、これによって無意識下では常に恐れ緊張状態を強いられることもあるかもしれません。最悪は、抵抗を放棄し、なされるがままになることもあるでしょう。意思や力の行使の放棄と、現実逃避です。

幼子の3つのレベル

そこに在ったから、私たちは幼子と出会います。
最初の出会いを意識しなかったとしても、安全で安心できる環境を求めたり、守ってもらいたいとか無条件の愛や受け入れを望んだりしたときが、幼子を覚醒させる機会となります。

失われた無垢な魂を取り戻すという神話が、失われた楽園を取り戻す物語、本当の故郷や種族を再発見する物語、愛の物語のいずれの変形版であろうと、筋書きそのものには強い希望があふれており、私たちの中にいる無垢な子供を目覚めさせる力を持っている。

覚醒したばかりの幼子は、傷つきやすく他者に依存している乳児のような存在とイメージできます。
現実の子どもがそうであるように、私たちの内界の幼子も成長し、発達していき、レベルを上げていきます。

レベル1:疑いを抱かず、環境を受け入れている状態。今の完全な状態がすべてであるという信念を持つが、実際は依存状態にある。

レベル2:幻滅や失望を体験するが、逆境に在っても信念と善良さを持ち続けている。

レベル3:賢い幼子として楽園への帰還を果たす。否定・愚直・依存とは無縁の信頼と楽観主義を有す。

上記のレベルは、健全な幼子が順調に進化したばあいです。

いかに信じていたものから裏切られようと、健全な幼子であれば、自分の信念に沿って努力していきます。打ちのめされ傷つく体験を繰り返しても、幼子は謙虚に無垢な状態へ戻り、新たなレベルへと進化していくことでしょう。

幼子の課題

私たちは、ある意味では幼子に留まってしまっています。
これは良い、けれどそれは悪い。自分が正しいことを証明するために、他者を排除する。あっちかそっちか、という二者択一、二元論でしか物事を判断できないのが幼子です。
当人が正義だと信じているものに基づいて行動した結果が、差別や他者への否定となってしまっていることも多い。

幼子が学ばなければならないのは“経験・体験”と言えるのではないかと、私は考えます。
経験や体験から自分の知っている世界が拡大していくと、幼子はこのようなことを学びます。

  • 最高にすばらしい人間も最低最悪の人間も、良い性質と悪い性質を併せ持っている。
  • 人を見る目を養うことができれば、他者と深く関わったり誰かを愛したりすることを恐れる必要はない。
  • 夢や理想は、幻想とは別のものである。
  • 純粋さは、犠牲にしても失われるものではない。
  • 信じることと用心することは、同時に存在できる。

二元論から、より複雑な世界のあり方を理解していくようになるのです。

さいごに

幼子は信念です。
人生が思っていたよりも残酷なものだと知って打ちのめされても、早く立ち直ることができます。なぜなら、希望に満ちた信念があるからです。
幼子は私たち人間の、実現の可能性がいかに皆無に思えるときでも、決して夢をあきらめないという資質です。

人生という長い旅の道のりにおいて、私たちは幼子をなくしてはならない。私たちは、善を信じる心や、夢や希望という望みをなくしてはならないのです。

幼子が到達するのは、英知の産物としての無邪気さです。経験した上での理解ゆえの、受容と信頼です。

幼子の旅は、一種の理想郷とでも言うべき、健全で、安全で、安らかで、愛があふれた環境で幕を開ける。そして、次の瞬間にはそのような環境から放り出され、私たちを裁こうとする人々が待ちかまえ、差別が横行し、争いや暴力がはびこり、幻想を粉々に打ち砕いてしまう世界に足を踏み入れていく。

幼子は幼子として旅を続けます。
幼子が健全に進化していくために、私たちは他のアーキタイプを覚醒させ、力を借りる必要があります。

さて、幼子は幼子として存在し続けます。
否定され見捨てられた存在として覚醒するのは、12のアーキタイプの2番目としてご紹介する『孤児』です。