ヒーローズ・ジャーニーで読み解く『僕の婚約物語』

2016.11.20

ごく普通の人生を過ごす私たちの誰もが、物語を生きています。生まれ、成長していく中でさまざまな体験を重ね、経験を積み、やがて死ぬ。人生にはマニュアルはなく、私たちは自分がこの先どうなるのか、知ることはできません。広大な世界で、道しるべもなく冒険しているようなものです。
ある人は、そもそもなぜ生まれたのか、に疑問を持つでしょう。またある人は、未来に不安を覚えるでしょう。なぜ生まれ、生きて、どこへ向かっているのか? 今、自分の置かれている状況にどんな意味があるのか? 自分とは何者なのか? そういった問いへのヒントにもなり得るのが、ヒーローズ・ジャーニーという考え方です。
今回は、実在するひとりの青年の、本人のブログに書かれたことをヒーローズ・ジャーニーで読み解きます。

かんたさんのラブ・ストーリー

ヒーローズ・ジャーニーについて

簡単な説明ではありますが、下記ページにあります。

上記ページには、少し長い期間でのヒーローズ・ジャーニーを載せています。旅のテーマは「私らしさを求めて」とでも言えるでしょうか。

さて、今回の主人公は かんた(かんた@米国)さんです。テーマは「超遠距離恋愛を実らせる」。

かんたさんのヒーローズ・ジャーニー

ご自身のブログ『かんたの英語生活』に、婚約報告の記事を書いていらっしゃいます。

別窓で開きますので、先に読まれてください。読むだけで感動できる、とてもよい記事です。そこに書かれていることだけを元に、まず図解します。

本文中の引用は、すべてかんたさんの記事より。

図にしてみると

以下の図を参照していただいて、少し解説します。

かんたさんのヒーローズ・ジャーニー

解説

ヒーローズ・ジャーニーは、大きく3つの段階でなっています。このばあいは

  1. 準備・・・ヒーローは英語に興味を持ち、学んでいた。
  2. 旅の最中・・・ヒロインと出会い、留学を決意し、一緒に暮らし始める。
  3. 帰還・・・ヒロインとの婚約を決め、プロポーズする。

旅は日常の世界から、スペシャルワールドへと移行することで始まります。
ヒーローは何がしかの欠落や欠乏、何ものかへの憧れを抱えた状態で日々を暮らしています。そこにヘラルド(スペシャルワールドからの使者)が、コール(冒険への誘い)を持って現れます。かんたさんには、小学校時代からのお友達が使者となり、英語を使ってみないか?という誘いをしていますね。

ヒーローはコールを拒絶することも多いですが、かんたさんはいいぐあいにリキミの抜けた

特に断る理由もないし、英語の勉強になるならいいや、くらいの感覚でオーケーします。

「英語を使っての、見知らぬ女性とのやりとり」をあっさり開始させるヒーロー。
第一関門を突破すると、ヒーローは後戻りができなくなります。スペシャルワールド、冒険の旅への突入です。

メール、文字だけのタイムラグOKな状態から、スカイプを利用したリアルタイムでのやりとりへと発展します。英語を使うということ。ヒーローとヒロインの緊張感は記事を読んでいただくと伝わってきますね。ヒーローズ・ジャーニーにおいては、ヒーローがスペシャルワールドのルールを学ぶ場面となります。ヒロインは、恋人候補としてだけでなく、メンターの役割も果たしていると言えるでしょう。物語としては、メンターが恋人になるケースですね。

僕は彼女ともっと話がしたいという理由で英語に本気で取り組むことを決意します。

一つ目のクライマックス、ヒロインとの対面に向けて、ヒーローは仕事を辞めミネソタへと向かいます。とても印象的で感動的なシーンです。互いに好意を抱いていることを確認し、その後約1年間、会えない時間を過ごすことになります。
恋の休止、この期間はヒーローが通過儀礼を受けるときでもあります。留学を決意してからの資金調達のための仕事、大変だったようで、胸が痛みます。書かれてはいませんが、留学のためのさまざまな準備もあったでしょう。

通過儀礼を無事に通り抜けたヒーローは、再びミネソタへ。再会です。空港で、かな? きっと絵になるシーンだったでしょう。そして、一緒に暮らし始めます。

それからさらに約1年でしょうか、ヒロインとともに暮らしたヒーローは

僕は彼女が一番の親友だと思うし、一番のパートナーだと思います。この人と一緒にいれば自分の人生が豊かになると確信しています。自分のこれからの人生、彼女と一緒にいたらどういうものになるんだろうってものすごくワクワクしています。大変なことももちろんたくさん起こると思います。でも、そういった問題も僕は彼女と経験したい、とさえ思います。そして彼女と乗り越えたいなって思います。

プロポーズを決心します。二人の暮らす家でのプロポースのシーン、ラブストーリーは、ここでハッピーエンドを迎えました。
映画なら、エンドロールが流れた後に、笑いあう二人と、ヒロインの指にきらめく指輪のクローズアップでしょうか。

さいごに

ヒーローズ・ジャーニーで自分を振り返ると、どんな体験もきちんと意味があったのだとわかります。誰の人生も、物語です。誰でもが、自分の人生の主人公なのです。
今回は、ブログ記事に書かれていることだけで分析させていただきました。これが正解ということでは、ありません。ご本人がご自分で分析されると、また違ったものになるかもしれません。あくまで一例としてご覧いただけたらと思います。

最後の最後になりましたが、かんたさんに御礼申し上げます。
「記事にしたい!」という私の願いをご快諾いただきました。ありがとうございます。
こうして、実在の物語、ハッピーエンドなラブ・ストーリーをご紹介できたこと、とても嬉しく感じています。
素敵なお二人が、ますます幸せを感じて、ともに日々を過ごして行かれますように。