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夜を愛した

2017.9.18

一度だけ、月が鳴るのを体験した。
ふと呼ばれでもしたかのような注意を引かれ、駐車場に面した窓を開けた。
見上げるでもない位置に、それまで見た中で最高の大きさの月が在った。その大きさにも驚いたのだけれど、なにより、月から音のない音がしていた。おぉぉぉぉーん
魅いられたように立ち尽くし、見つめた。

夜は、魑魅魍魎の闊歩する、妖しくも魅惑的な世界だった。
仄暗く、ぬるま湯に浸かるにも似た快楽があった。
夜を好んだ。闇に生きるものたち、存在するものたちを好んだ。

20代は、夜の街で遊んだ。
ギラギラと、昼間よりも明るい人工の光。いかがわしい店々。男たちは粗野で、女たちは安っぽく、すべてが飾り立てたまがい物。私はその一部として、居ることを容認されていた。
邪な思惑。絶望ゆえの陽気さ。何が起こってもおかしくはないのに、何故か危ない目にあったことがなかった。
気を失って流されるように、身構えることなく落ちるように、抵抗しないでいると怪我をしにくい。そんなだったのかもしれない。

薄汚れ、どこまで墜ちようがかまわないような私だった。
いや、むしろ何も考えず感じられない私だった。
夜の闇は、汚れたものでも恐いものでもなかった。親しく心地よいものだった。
私が溶けていられるもの、だったのかもしれない。
夜を愛した。

闇。
ごく普通のヒトたちの言う「闇」は、忌むべきものとして語られる。
悪のメタファーとしての闇。

豊かでもあるのに。

それを実感として理解したのは、いつだったか。
早朝の清々しさや美しさに気圧されない私になってからだと思う。少なくとも、その変化の過程のどこかだった。
朝は、光は、希望で善。そんなふうなイメージがある。

じゃあ、夜は? 闇は悪なのか? それは違う。

絶望を生きていた私を包んでくれていた。夜の闇は、果てしなく優しい。
混沌とした闇は滋養に満ち、私を育んでくれた。
うらぶれ、自棄だった頃、夜だけが私に優しかった。

善のみならず悪や恐怖をも包含する、夜の隔てない豊かさよ。神聖な夜よ。
闇の優しさを、豊かさを知るがいい。
私たちはやがて、闇に包まれ、目覚めない眠りにつくのだから。