精一杯なのに?子供に悪影響与えるなとか無理!

2016.10.25

子供を持つことなく、40代になりました。母親としての経験はないし、これからも経験することはないでしょう。気持ち・立場としては、母の娘、母の子供のままと言ってもいいのかもしれません。なので、子供の立場から、大人の頭で考えたことをお話しできるのでは?と思います。
今回お話ししたいのは、人間心理系の本を読んでいるとよく見る「幼少期の、養育者から受ける影響が、子供のその後の人生に多大な影響を与える」についてです。私は、ずっとこの言い方に疑問を感じてきました。
大きく影響するのは、事実でしょう。しかし、この言い方だけ、ここだけだとまるで責任すべてが親にあると言っているようにも感じられます。
私見でしかありませんが、結論を言えば、子供に不適切・不適当な影響を与えるなというのは、まず、無理。どうしてそう考えたか、どうするのがいいと思うのかを以下にまとめます。

caregiver

「悪い影響を与えるな」は無理だと思う理由

赤ん坊の側と、養育者(親)の側、双方から考えます。

赤ん坊のつごう

生まれた赤ん坊は、世話をしてくれる人なしでは生きていけません。自ら動くことすらままならず、生きるために最低限必要な、食べることもできません。
赤ん坊の食べ物は、乳。産みの親の乳でなくても、母乳でなくとも大丈夫なことから、赤ん坊に必要なのは、母親ではなく『養育者』という言い方をします。母親だけでなく、父親も、つまり世話をする人のことです。
心理学的には、人の人格の基本的な部分が出来上がるのが、0〜3歳(もう少し長く、6歳までという説もあります)。この時期に、養育者とどのようなかかわり方をしたかで、その後がある程度以上決まると言われています。必要なのは、たっぷりの愛情を注がれること。赤ん坊自身が、安心感を感じられること。
個人的には、この時点で無理があると思っています。
どんなふうにすれば愛情たっぷり? どんなふうにしたら安心?
養育者がどんなに愛情を注いでいても、赤ん坊がそれを「たっぷり」と感じているか、赤ん坊自らが「安心感」を感じられるかどうかは、その子しだいだからです。

養育者のつごう

赤ん坊は、主に母親とのふれあいで、愛と安心を感じるとされています。お腹が空いたときには満たされ、オムツが濡れたら交換され、まるで自分が全能であるかのように感じていると言われています。しかし、いつでもすぐに赤ん坊の、不快のメッセージに応えられないのが現実でしょう。ここで既に、赤ん坊は満たされなかったと感じるとも言われています。
赤ん坊には、道理や理屈を理解する力はありません。養育者の都合が通じない。ちょっと家事をする、その間も赤ん坊は不安を感じるかもしれない。
まして、いつでも穏やかな気持ちでゆったりした時間を共に過ごすのは、とても難しいことかと思います。養育者は生きてる一人の人間であり、神じゃないし天使でも賢者でも人格者ですらない。若くして養育者となった人ならなおさら、自分自身の人間性も未熟な可能性があります。これが現実。

サポートを求めることの提案

赤ん坊がどんなことを感じとって成長するかは、その子しだいです。養育者として、母親として、その時できることをしてきたのなら、それで責任を果たしたことになります。
私自身は、母との関係で苦しみました。私が、母から愛情をもらえなかったと感じていたからです。大人になってから、私は第三者にサポートを求めました。心理カウンセリングという形でした。今でこそ、母は愛情表現が下手なだけであって、決して愛情がないわけじゃなかったとわかります。カウンセリングを受けた結果、理解することができました。さらに、以前より健全で公平な考え方と判断力を身につけることもできました。
この経験を踏まえて、養育者にしてもらったらいいのでは?と提案できるとしたら、サポートを求めた方がいいということ。これには、二つの意味があります。

サポートの意味1

まず、養育者(たいていはお母さんですね)が、楽になってください。楽になって欲しいのは、気持ちの部分です。
自分を理解してくれる人を探してください。気持ちを汲んでくれる、安心して話ができる、人やグループを探してください。最近は役所や保育園などに、育児サポートの張り紙を見かけます。どのくらいの人が利用しているのかは、わかりませんが、とてもいいことだと思います。核家族で、まして一人目の子だったら、否が応でも不安だし神経質にもなるでしょう。具体的に何をしなければならないのか、だけでなく、不安な気持ちまでもを聞いてくれるような所を探してください。聞いてくれる人がいる、共感してくれる人がいる、それだけでも気持ちが違ってくると思います。
さらには、サポートは1ヶ所でない方が望ましい。いろんな所でいろんなことを見聞きできるし、比較もできますね。専門機関と、個人の熟練者と、同じ環境の仲間など、バリエーションがあるのがいいかと思います。

サポートの意味2

あるていど育てば、子供も養育者の姿を見ています。養育者自身の行動から、子供たちに、第三者にサポートを求めてもいいんだ、第三者からサポートしてもらえるんだ、というのを教えてあげてください。知っているといないとでは、思春期以降の精神面での安定が違ってくると思います。大げさな話に感じるかもしれませんが、心の病や死に至る行動などは、他者を頼ることを知らずして起こるものでもあるからです。
また、健全な判断力を培うためにも、自分の家庭と他のあり方との違いも知っておいた方がいいとも思います。優劣の比較としてではなく、例としての多様さを知っているといないでは、客観性や現実的なものの考え方なども変わってくるでしょう。

さいごに

いわゆる悪影響に苦しんだ経験のある、大人になった一人の子供から言いたいのは、一人で全部を背負わないで!です。
みんな、精一杯やってるじゃないか。と、思うから。