作品である自覚

2016.9.21

 片道2時間ほどかけて、髪を切ってもらいに行く。ちょっとした遠足だ。1時間も電車に乗ってれば飽きて暴れ始める私が、それでも行くのは、つきあいの長い美容師さんがいるから。主人もその人を気に入ってるから。
 スタイリストAさんとは、もう10年近いつきあいになるのかも。長かった髪をバッサリ切ってくれたのが、彼だった。綺麗な顔をして、いつもディーゼルを着てる、私より歳の若い男の子。

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A photo by Jens Lindner.

 寒い雨降りだった。Tシャツ、デニムの腰にチェックのシャツを引っ掛けた爽やかなAさんに「珍しいね、半袖なんて」と話しかけたら「絶対言われると思いました!季節の先取りしなきゃいけないんだけど、湿気がすごくて」と言い訳してた。私は、批判したわけではないんだけどね。
「お二人、入店されたときに『さすが。秋だ』って思ったんですよ。だから最初か最後に(自分の服装を)絶対言われるって」にも驚いた。主人も褒められてる!

 主人は、綺麗好きではあるけれど、洋服・外見に興味のないタイプ。見た目も重視する私としては、なんとかしたい。まずしたのが、美容院に無理やり連れて行くことだった。
 担当してくれてるAさん、彼なら、髪のクセと人間のクセも見てくれて、似合う髪型を提案してくれる。自分でもうるさいなと思うほど要求の厳しい私に、できるできないをきちんと意見してくれる人でもある。

 たしかに、近頃の主人はかわいい格好をしてる。キャスケットや中折れ帽が似合う人。でも、着るものを選ぶのは、やはり面倒らしい。
 そのぐらいで、いいけどね。
 一方、私の方は、おしゃれに気を配らなくなってどのくらいになるだろう? 「さすが」と言ってもらって、内心ギクリとした。

 「女性の『カッコいい』は、誰でもなれる」というのがAさんの意見。私も同意だ。
 髪型をまるっきり変えたいと相談したら、前下がりのショートを提案してくれた。前髪を作り、トップから後頭部にかけてボリュームを出す。フェイスラインは縮れてるから矯正が必要なんだけど、その他は髪質を活かしてる。彼のおかげで、すごぶる評判がいい。

 美容院に行くと、鏡でずっと美容師さんの手元を見てる。どんなふうに使うのかを観察するのは楽しい。真剣にお仕事してる人の、引き締まった表情を見るのも好きだ。
 切り上がったときに、自分の顔が変わったのがわかった。キリッと。
 「自分がどんな髪型してるのか、忘れてたよ」と言ったぐらい、夏の間、手をかけなかった。出かけるにしても帽子かぶるし、そうでなくても汗で崩れる。
 私は、彼の作品なのだと思う。そう思うと、せっかくやってもらったのに台無しにしたくない気持ちが湧く。
 これから、秋だ。冬になるとまた帽子が必需品になるけど、できるときにはブローしようと気持ちを新たにした。

 帰りの電車の中で、主人に「Nyanに白いTシャツとジーンズ、ってイメージ、ないよね?」間髪入れず「ない」と返ってきた。
 何が似合う?には、やっぱり着物でしょう。黒いやつ? 紋がついてるようなやつ。
 それも、ある意味のカッコいい、かな? Aさんのような爽やかさは、かけらもない。いいけど。

余談:
『着物の似合う女性』でググったら、呉服関係の仕事をしていた人の意見があった。

  • なで肩で鳩胸。
  • 150㎝台後半から160㎝台前半くらいの身長がいちばん適寸。

あてはまってる。