相手のため自分のため

2016.10.19

「嫌なら関わらなければいいんじゃない? 関わるからいけないんじゃない」
ア然とした。私はあなたのために、今までしてきたのに?
相手は会社の、とても仲の良かった先輩だった。化粧直しタイムに、鏡を覗きながらの言葉。前振りなく突然だったから、何を指して言ったのかはわからないが、私は彼女と自分の関わりのことだと受け取った。
驚いた後に、考え直した。たしかにそうかもしれない。
悩み事や打ち明け話を聞いてきたけれど、解決しようとしない彼女を疎ましく思っていた。少しでもよくなってもらいたいと思ってたけど、彼女を嫌になり始めてもいた。余計なお世話だったのだ。関わる私が悪かったのは、一理ある。

相手のために料理する

それまでにも、大切な人から「嫌ならしなければいいだろう」や「私の世話を焼いていい気になってたでしょ」と、言われたことがある。どちらの時も、たしかにと思った。相手のためと思いながらも、相手のためになれる自分に酔ってなかったとは言えない。やりすぎて、自分自身の負担になることもあった。
相手のためって思いながら、結局そんな風に言われるんじゃ、相手のためになってないじゃないか。
私には、相手のことなんてわからないんだと気付いた。

結婚生活でイライラしていた頃も、同じようなことがあった。
毎日のご飯作りが、私にはとても苦痛。だって料理がめんどくさい。それでも主人のために、しなければと思っていた。おかずは3品以上を、毎日考えて用意して、イライラを募らせた。
ある日、バカみたいだと思った。イライラして何になるんだろう? 私はやりたくないことをして、それを相手のせいにして、勝手に怒ってる。
主人に話してみたら、必要のないことだった。出されたものは全部食べなくては、と、主人も負担に思っていたことがわかった。いっぱい作る必要なんて、なかった。

相手のために何かしたくなる時、できれば、相手に訊く。相手のことは、相手に訊いてみないとわからない。
ためになることを考え出す想像力のようなものが、自分にないのがわかって楽になった。余計なことを考えてやきもきすることが減ったから。
相手に訊けなければ、自戒する意味で自分に「それ、やりたい?」と訊く。したくてすることならいい。もし相手に受け取ってもらえなかったとしても、ためになんてならなかったとしても、「私がやりたかったんだもの、しょうがないよね」と思える。相手のためと、押し付けるよりずっといい。
嫌なことも、余計なことも、ストレスも減って、自分のためにずっといい。