異なるからこそ美しい|タニス・リー『緑の薔薇』
異質なものを排除するというのは、生物の、特に弱い生物の本能なのだと聞く。
自分とは異なっているものは、敵の可能性があるからだ。
弱肉強食と云われる自然界において、小さく弱いものは群れをなし、外敵から身を守ろうとする。群れに、異なるもの=敵を入れておくわけはな ...
父の意志を継ぐ娘の物語|ガース・ニクス『古王国記Ⅰ:サブリエル 冥界への扉』
原題は SABRIEL
ネクロマンサーとは、通常は死者を蘇らせる力を持つ者のこと。この物語で描かれるネクロマンサーもまた死霊使いだが、『アブホーセン』は死霊たちを眠らせるのが使命。
古王国記3部作の、『サブリエル』が第1部。第2部は『ライラエル』、第3部が『 ...
人とかかわり学び選択の果てに得たさらなる自由|パトリシア・A・マキリップ『妖女サイベルの呼び声』
原題は THE FORGOTTEN BEASTS OF ELD
マキリップの物語は、『茨文字の魔法』→『イリスの竪琴』3部作を読んで、これが3つめ。
この本を読んで、他の作家の物語を思い出す。冒頭、男性が訪ねて来るあたりは『妖魔の騎士』。名前がマジック ...
それぞれの恋の奥に隠れた夫婦でしかなりえない一対|山田詠美『A 2 Z』
「シュガー・コート」は、『クリエイティブ脚本術』という本の言葉だ。物語における娯楽性のことを指す。目的は、真実を隠すこと。
なぜ、真実は隠されなければならないのか?
人間の心理に「自分で発見したい」という欲求があり、「自分が発見した」ということに喜びを感じる ...
ひとりの少女のブレイブ・ストーリー|アーシュラ・K・ル=グイン作『ヴォイス 西のはての年代記Ⅱ』
原題は The Annals of the Western Shore “Voices”
西のはての年代記は3部作。Ⅰ『ギフト』。Ⅱがこの『ヴォイス』。Ⅲは『パワー』。
Ⅰの主人公はどの部にも顔を出すが、それぞれ別のお話。このヴォイスだけ、女性(少女 ...
挑戦!『好きな物語』100個出し
ある日「物語を書きたい!」熱がフィーバーしました。それだけじゃ、書けないものなんだね。
Amazonを物色してて、良さそうな本を買いました。『「物語」のつくり方入門7つのレッスン』という本です。そのなかに『あなたの起爆剤を見つける』レッスンがあります。これをやっ ...
おばあさまはどのようにしてウェアウルフになったのか|タニス・リー著『狼の森』
原題は、Wolfland。
短編集『血のごとく赤く』 RED AS BLOOD Or Tales from the Sister Grimmer の一編。
“グリマー姉妹”が表す通り、グリム童話を下敷きにしたタニス・リー流の物語集。
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