古くなる – 音楽を聞いている

2023.3.11

びっくりしたんだけど、読み込んだCDの曲情報がないとのメッセージが出た。
いつ買った物かと考えた。高校生だったんじゃないだろうか。

記憶を呼び起こす、何かを思い出そうとするとき、他の人はどうなんだろうか? 私は映像で見る。

中学生当時、今となっては「実家」と呼ぶ場所に住んでいた。CDを売っていたのは、まだ「レコード屋さん」と呼んでいたお店だった。税だったか何だったか、物の値段が上がると聞いて、その前にと数枚のCDを買った。
お店の中を撮った写真のようなイメージを脳内に見て、これだけのことを思い出した。

音楽を聞いている。

MacからWinの旧iTunes、今では「ミュージック」と呼ぶね、にファイルをコピーしようとして失敗した。MacもWinも初期化したので、ミュージックもフォルダを作り直してる。消えてしまった曲は読み込み直して。とんでもない数が重複してたりもしてる。
1つずつでもやっていけば、いつか終わる。

子供の頃にはレコードしかなかった。一番音楽を聞いていた時代にはCDだった。そして今、音楽はダウンロードするのが主流になったのかな? 便利だよね。データを消してしまっても簡単に復活させられる。

歳をとった。…あまりにも凡庸でありふれすぎているこの言葉を、ばかばかしいような気持ちを感じながらも言いたくなる。
ヒットチャートを追いかけていた私の、今聞いている音楽は皆とても古いものになった。歌っている人の何人もが故人だったりもする。

古くなる。当然のこと、自然の摂理なんていわれる。それをせつなく感じる。なぜだろう?
すごく、ものすごく努力して身につけたあれやこれやが、もはや古くなって使えない。たとえばこんなことが悲しいからだろう。あんなに頑張ったのに。
生きていくってこういうことな気がする。必要だから習得したのに、役に立たなくなってやり直すはめになる。何度も。
頑張ったのは無駄だったんだろうか。そうじゃないとわかってはいても、絶望に似た気持ちがする。

もしかしたら、これが「ついていけなくなった」のひとつの形かもしれない。
力もなくなっていくからね。新しいものを吸収する力や、やり直そうとする気力とか、そういうの。

不思議なんだけど、私には、音楽が効く。古くなった音楽が。
記憶には感情が紐づいているんだという。昔の音楽を聞いて、その頃の感情が呼び覚まされるのだとしてもおかしくはない。でも違う。そういうかんじじゃない。
音楽は体の奥にダイレクトに染み込む・吸収されるかんじがする。食べ物が細胞に栄養をくれるように、音楽が心に栄養をくれるかんじがする。
すっかり古くなって生きる気力を無くしていたかのようだったのへ、力をくれてる。点滴みたいだ。音楽を聞き続けてる。古くなっても力を失わないものがあるのか。

つれづれ

Posted by nao