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薪割りとイメージ

一度だけ、薪割りをしたのを思い出した。

知り合いの所へ、泊まりに行った。目的は、薪割りだった。
やったことがないから、経験してみたかった。なぜ薪割りなんてものに、あれだけ強く関心をもったのかは、わからない。
もしかしたら、本で読んだことがあるから。想像の世界にしかないようなことを体験するチャンスだったから、なのかも。

firewood

斧を触るのも初めてだし、実物を見たことさえなかった。
こんなに重いものなのかと驚き、凶器にもなりえる事実を思い浮かべ、怖さも感じた。

絵に描いたような薪割りだった。薪割りとはこんなかんじ、と、私が想像する通りの。
切り株があって、その上に、薪を置く。
知り合いが言葉で説明しながら実演してくれたのを、真剣に聞き、見た。
あの真剣さは、事故になりうるとわかっていてのもの。

主人が試してみるのを見ていた。
ヒトがやってるのを見て、感覚をつかみたかった。イメージトレーニングみたいに。
私は視覚的要素が優位で、体を動かしてコツをつかんでいくより、目で見たかんじを取り込んでいくのを得意とする傾向がある。

自分の番。せっついて交代してもらったと記憶している。

斧を振りかぶるのに、私の筋力ではギリギリなかんじがした。
『肝心なのは刃をブレさせないように、手首をひねらないこと。斧自体の重さで落ちていくから、振り下ろそうとする必要はない。』
知り合いの説明を反芻しながら、真剣な気持ちで薪割り台の前に立った。
両足を開き、斧を振りかぶり、背筋を伸ばしたままスクワットの要領で腰を落とす。
薪は割れない。

傍らで見守ってくれている知り合いがアドバイスをくれる。
『丹田を意識して。薪と一体になって。割ろうとしないで。』
何回もやってみているうちに、集中していった。今この瞬間、この世界には、斧と薪と私しかない。そんなふうに。
斧を振りかぶりながら、薪を感じる。一体になったと感じた瞬間に、振り下ろす。
なんの抵抗も感じることなく、薪は割れていた。

すごくすごく不思議な感覚だった。
室温のバターに、バターナイフを入れるのと同じくらいの抵抗のなさ。
うまく薪が割れたときは、そんなだった。
くせになるような快感だった。

ほどほどで止めたつもりだったのだけど、翌朝の筋肉痛は想像を絶するものがあった。

後日、知り合いたちの集まりで、そのときの写真が回された。
女性の多いその集まりで、私の写ったのを見た一人が大笑いしながら言った。「女捨ててるでしょ?!」
なんのことかわからず、ポカンとしたかもしれない。
別の一人が言った「こんな股開いて。ねぇ」で、理由がわかった。

私の目的は、薪を割ることだった。そのために必要なことをした。それが、女を捨てることなのか?
女のするかっこうではない。という、イメージがあるんだなと理解した。つまり、女とは股を開かないもので、股を開くのは女を捨てることなのか。
同じ女であり他者であるその人たちにとっては、そんなふうに思うことなのだ。なるほど。

反論は、しなかったと思う。笑って受け流した。
だって、あなたと私は違うのだから。しようのないことかなと思った。あなたがそう思うなら、それはそれでかまわない。そんな気持ちだった。

私は、私を説明しないと選択した。
私をわかってもらいたいとも思わなかったし、わかってもらう必要性も感じなかった。

私の目的は、薪割りだった。それは達成された。
以外の、経験したことのない筋肉痛は言葉もないほどにつらかったし、女性たちからの評には納得しきれないけれど、どうでもよかった。
それほどに、薪割り体験は、私にとって充実したものだったのだ。