12月最初の朝に

2017.12.1

12月最初の朝は、寒々しく重たいグレーの空。行き交う人々の装いは黒や茶が多く、街も彩りを欠いて。
冬はモノトーン。

窓の下、葉を落とした街路樹に目を落とす。電飾で飾られていて、夜になればあたたかなオレンジ色に明るい。
冬の夜は華やかだ。

machi

ここを品のある街だと思うのは、ダウンライトとスポットライトが多用されているから。
夜を損うギラギラとした眩しさがないから。
目の前のショッピングモールも、明る過ぎる光を撒き散らすことはない。一階の店々のガラスに街路樹の電飾が映り、まるで星が降るよう。見るたび「綺麗ね」と口からこぼれる。

この街を、とてもとても、好きだ。

ここに来るまでは、東京都内ばかりあちこちに住んできた。どこもそれぞれに違っていた。ここに住んでいたいと思える場所はなかった。
初めて、ずっと住んでいたいと思える場所に、今いる。
ここが、好きなのだ。

下の広場では時々イベントをやっていて、静寂が壊される。2・3日、数時間。そう多くはないし、長くもない。
いつもは、駅前にもかかわらず、これだけ静か。
ロータリーがあるのに、電車は通っているのに。
人によっては、寂しい場所と言うのかもしれない。私には、心地いい。

朝早く犬の散歩をしていると、たくさんの人がお掃除しているのに出会う。朝早くから働いている人々のおかげで、ゴミが散らかっていることもなく、そこここの花壇には花が咲き、ベンチにはためらわず座ることができる。
整備された街。

夢のようだ。半年ちょっと、ここにいて、いまだ思う。素敵な街での素敵な生活を送っている、と。
ここにいる違和感はまるでなく、ただただ歓びを感じる。こんな生活を送らせてもらっていることに。
外に出るたび、部屋の中を見回すたび、歓びを感じる。私のいるべき場所を見つけた。
そう、歓びとは、願い叶った喜びなのだ。

駅から少し離れれば、いかにも地方な光景が広がっている。もしかしたら、これから開発されていくのかもしれない。
道路が、よく変更されると聞いた。この前まで通れた道が、なくなってしまうことがあるのだと。車をもたない私たち夫婦には支障ないけれど、不便なことなのかもしれない。
変わっていく街。街全体が、実験の場。そんなところも、私はワクワクする。

病院や介護ケアを充実させていくとの動きもあるようだし、病気を防ぐ取り組みもしていくようだ。
特産品や、自然の観光資源となりうるものを、もっと活用するにはどうしたら?のテーマを掲げたりしてもいるようだ。
最新の技術を取り入れ、現在と未来の問題を予測し、より豊かにしていこうというプロジェクト。
さまざまな可能性に開かれた、未来への希望が、ここにはある。

私たちは、どうしてここへ来たのだろう?
縁とは、なんて不思議なものなのだろう。