はじめてのMRI体験してきた

2023.5.9

タイトルの通り、MRIしてきた。撮ってきた、と言うんだろうか? 画像表示するんだからそう言ってもいいんじゃないかと思う。
CTは放射線を使い、MRIは磁力と電波を使って撮るんだそうだ。こう聞くと何かわかった気になるけれど、放射線や磁力、電波の何を知ってるだろうかという疑問も浮かぶ。つっこんで理解するには私のアタマじゃ無理だろうから、まぁわかったような気になったままにしておこう。

私のばあい、五十肩でかかった整形外科の先生が「他の原因がないかどうか、念のためMRIを撮らして(ああそうだ「撮る」って言ってた)もらってます」というので、初めてのMRI体験することになったわけ。
初めての体験というのは―――当然モノにもよるけど―――たのしみでワクワクするものだ。やるって聞いてちょっとときめいた。
しかし家に帰ってから、自分は閉所恐怖を感じたりしないだろうかと不安に想った。想って、すぐ忘れた。すぐ忘れたのは自己防衛みたいなやつ。不安って抱えてるとどんどん増えるからね。

よく考えると大きくない病院にMRIがあるってすごいななどと感心しつつ、検査当日。
服はもちろん下着にも金属の使われてないものを着用して行ったので、Fitbit(=スマートウォッチ)だけを外した。
検査技師さんに「初めてなんで楽しみにしてきました」などと言いつつ入った検査室。クリーンで明るい室内に鎮座ましますオープン型MRI。見て、「閉所恐怖大丈夫かなって思ったんですけど、これなら大丈夫そう」と言ったよね。

促されて仰向けに横たわり、用意してもらいながら検査技師さんと少しお話しした。話しやすいと思ってもらえるのか、それとももしかしたら何か話さなくっちゃっていう圧を与えちゃってるのか、いろんな場面で初対面の人がよくおしゃべりしてくれる。
今回聞いたのは以下。

閉所恐怖の人で、横たわる台が検査機に入って行く時にもう「無理」ってなるそうだ。
オープン型でないやつは音がけっこううるさく、「頭がおかしくなりそう」と言う人もあるとか。
検査技師同士で練習をしたとき1時間ぐらいかかっちゃった人がいて、そのときから閉所恐怖になった人がいる。
検査は30分ぐらいかかるとのことだが、MRIは振動に弱いのでそうで身動きしちゃいけない。「深呼吸しないで。ゆっくり息をして」が注意事項。
「できるなら寝ちゃった方が楽です」

クッション付きのベルトで台に固定されて、身動きしちゃいけないからこれなのかと納得した。
検査技師さんたちの熱心さを笑うのは失礼だけれど、練習台になって閉所恐怖症になった人がいるっていうエピソードにはおかしみを感じた。それから、「できれば息しないで」って言いいたいんじゃないかなってかんじにも。

ここで言う「おかしみ」とは、笑うほどではないんだけど なんとなくかわいらしくもあるような変さ加減やおもしろさ、という意味。
毎日を生きやすくするコツのひとつは、おかしみを見つける才能を磨くことじゃないかと私は思う。

ところで、オープン型MRIは快適か?というと、私はつらかった。横たわってから条件反射のように目を閉じてたんだけど、台が動くかんじがして目を開けたら、顔のすぐそばに天井があった。いや天井ではなく検査機なんだけど、その圧迫感がものすごかった。
私、たとえば洞窟とかで狭い穴にもぐり込んで埋まるというのが、ものすごくリアリティのある恐怖シチュエーションなの。なんでそんな想像するのかわからないけど。
とっさに目を閉じた。パニックが忍び寄ってくる。今見たものは忘れようと努めた。天井が近いだなんて、目を閉じてればわからないって自分にいいきかせた。この状態で30分耐えられるかわからないって思ったのも、横に置いた。

耐えられなくなったら、手に持たせてもらった物を握ればいいようにしてもらってた。
中断しても、また最初っからやり直しになるとしたらヤダと思った。だって次は最初っから恐怖感を抱いて挑むことになるわけで。

マスクは外せばよかった。顔かゆくなったらどうしよう。そんな後悔と心配をした。
こんな状況で精神状態で、そんな後悔と心配をしてることにおかしみを感じた。
おかしみを感じると、不都合な感情からちょっと気がそれる。このばあいは恐怖から。おかしみは私を救う。

30分は短くはない。せめて経過時間がわかればと考えた。“今”どのくらいなのかを知るのは耐えるよすがになる。
聞こえてくる音楽が耳に入った。たぶんカーペンターズだろうなというのが。曲を数えればいいんだと気がついた。歌って、平均3分だと思ってる。これがたぶん2曲目ぐらいだ。
眠れはしなかったけど、祈ってた。祈りの効能で、ちょっと落ち着いて恐怖も少し遠くに感じてた。
あの状態を言葉にすればいいのかわからない。現実を現実とかんじつつ、同時に現実ではないかんじ。

ともかくもカーペンターズ7曲ぐらいを数えたところで、ドアが開く音と検査技師さんの「おつかれさまでしたー」が聞こえた。本当にほっとした。

ところでBGMは全部カーペンターズだったぞ。これも おかしみ。
その病院、リハビリもやっている。私は現在週1で通って、理学療法士さんに肩周りをほぐしてもらってる。毎回同じ療法士さんで、この前「院長の趣味らしくて音楽がジャズなんですよ」って聞いた。次回会ったら、検査室はカーペンターズだったよって話そう。

さて、初めてのMRI体験での感想を一言で「もうイヤです」。
状態がすっぽり入るようなのは耐えられないと思う。鎮静剤かなんかで眠らせてもらえないなら無理だと思う。

つれづれ

Posted by nao